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もうすぐ公開 『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』に感じるブラックホールとの共通点

  • Writer: Yuka Kudo
    Yuka Kudo
  • Jul 2
  • 5 min read

もうすぐ待ちに待った『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』第一章 が7/18から全国公開!

私はスイス在住なので見れないかとしょんぼりしていたが、なんと学会で日本に行くことになったので見れます!感激の極み!!


無限城がね、大好きなんですよ。

やっとufotable手がける美しいアニメで無限城を拝めると思うと大感激です。


今日はその無限城について、ブラックホールの特異点における”無限”と比較しながら語りたいと思う。


まずは、予告動画で心躍らせてください。



個人的に、無限を上手く可視化しているなと感じるのはやはり映画インターステラーに出てくるブラックホール「ガルガンチュア」の特異点における無限です。

そのため、こちらと比較しながら深堀ります。


テサラクトの構造(『インターステラー』)

テサラクトは、ブラックホール「ガルガンチュア」の中心、いわば特異点の内側に現れる人知を超えた高次元空間です。ここでは、“時間”がまるで“空間の一部”のように扱えるという点が最も大きな特徴です。

主人公クーパーは、その空間の中を物理的に移動しながら、ある一つの場所(娘マーフの部屋)における“あらゆる過去の瞬間”を目にし、干渉することができる。これは、私たちの4次元時空(3次元空間+時間)では絶対に不可能な体験です。時間が一方向に流れるものではなく、「同時に並んで存在しているように見える」というのが、テサラクトの構造です。

つまりこの空間は、3次元空間が時間軸の方向にも無限に“折りたたまれている”ような構造だと言えます。“場所”の中に“時間”が埋め込まれており、時間の中を歩くように移動できる。これは、次元の拡張によって時空が「物質化」したような状態です。


無限城の構造(『鬼滅の刃』)

一方、無限城は一見すると「異常に広い城」のように見えますが、その構造は3次元的な秩序を完全に失っています。例えば、階段がどこまでも続いたり、天井がひっくり返って床になったり、人物の位置がいきなり切り替わったり、空間が折れ曲がるように伸び縮みしたりする。

この城は、“物理法則の通じない異空間”でありながら、建築物のような外見を持つ不思議な構造体です。空間そのものが鬼たちの都合で自在に歪み、拡張され、隔離される。つまり、「現実の空間」ではなく、「概念としての空間」が可視化されているのです。

鳴女という鬼がこの城の構造を自在に操作することも、空間そのものを情報的・構造的に再編成しているような描写になっており、まるでシミュレーション空間やデータ構造のような性質を持っています。


共通点:空間の“重層構造”と“因果の再編”

さて、この2つに共通しているのは、「通常の3次元空間を“重ねたり折りたたんだりして、別の次元性を持たせている”」という点です。

  • テサラクトでは「空間の中に時間が畳み込まれている」

  • 無限城では「空間の中に別の空間が歪んで埋め込まれている」

どちらも、直感的な「前・後ろ」「上・下」「今・過去・未来」が、もはや通用しない場所でありながら、「空間の“感触”や“場の雰囲気”」として人間に認識されているという点が非常に似ています。

さらに重要なのは、この異常な構造の中で、登場人物たちは“因果律(時間の流れ・場所の順序)”に抗うような行動をとるという点です。

  • クーパーは過去に干渉し、人類を救う情報を送り出す

  • 無限城では柱たちが、空間を乗り越えて鬼の支配を打ち破っていく

つまり、どちらもこの異空間の中で、「普通では起こりえない結果(過去の変化、無限構造の突破)」が起こり、因果や構造の外側へ“手を伸ばす”という物語的な展開が描かれているのです。


次元というキーワードで読み解く

テサラクトは明確に「5次元以上の空間」であり、時間軸すら空間の一部として操作されます。無限城は明示されていないものの、その構造は非ユークリッド的(=直線や角度の法則が通じない)であり、次元的には少なくとも四次元的な振る舞いを持っていると考えることができます。

テサラクトは、高次元生命体がクーパーのために構築した空間です。また、無限城は、無惨が支配する異空間であり、鳴女という鬼がその空間を自在に操作しています。

両者に共通しているのは、人間の3次元的理解では把握できない“高次元構造”を、物語の中で“空間”として擬似的に体験させているという点です。つまり、「高次元を持つ空間を、人間が認識可能な建築や空間イメージに落とし込んで描写している」という表現技法が、両者の根底に流れているのです。

また、どちらも時間と場所を自分の意志では同時指定できないという点が非常に面白いです。


終わりに:構造が物語を変える

『インターステラー』の特異点(テサラクト)と『鬼滅の刃』の無限城は、それぞれの物語において「人間の限界を超える空間」として登場します。

テサラクトでは、高次元空間が人間に“時間を超えて愛と情報を届ける”手段として使われ、無限城では、空間の歪みそのものが“人間ではたどり着けない鬼の王にたどり着く”という試練の象徴になっています。

つまり、どちらの構造も、「物理的にはあり得ない空間を通して、精神的・物語的な極限状態を描く」ための舞台であり、人間の知覚や理性の限界の、その“向こう側”をのぞかせる窓のようなものなのです。


そう考えると、両作品のクライマックスが放つ異様な迫力にも納得がいくなぁと。



とにかく、楽しみです!!!

無惨の考える時間的無限と、無限城の時空間的無限。

こういう視点で映画を見ても、かなり面白いと思います!!!



そして本予告が既に素晴らしい。。。


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